十五夜と「支え合い・助け合い」

早いもので今年も九月になりましたね。

突然ですが、今年は9/10が十五夜(中秋の名月)でした。

みなさんはお月見など、されましたか?

十五夜の日に月見団子をお供えして、

これまでの作物の実りに感謝したり、これから実る稲などの豊穣を祈りながら、

月を眺めるという秋の代表的な行事のひとつです。


十五夜の行事は地域によって異なるのですが、

「子どもたちが他の家にお供えしているお団子や果物をこっそり取っていく」

という、その名も「お月見どろぼう」という風習がある地域があるのだそうです。


自然の恵み、秋の実りに感謝しながら、

その家だけで独り占めせず、地域の人たちで分かち合う。

お月見どろぼうは、ご近所に住む人たちのつながりを大切にし

ご近所同士で支え合い、助け合う関係を象徴するような文化ですね。



その話を聞いて、私が子どもの頃を少し思い出していました。

皆さんにもこのブログで何度もご紹介しておりますが、

私は子ども時代に布寄で暮らしていました。

当時は農業が盛んで、米や野菜を各家庭で育てていたり、

家によっては畜産も行っており、いろいろなものを自給自足で賄っていた時代でした。


もちろん、私の家でも米をはじめ、いろいろな作物を育てていましたが、

とれた作物は家族で消費するだけでなく、ご近所さんにお裾分けをするのが

当たり前のようになっていました。


今は高齢化が進み、過疎に悩んでいる布寄地域ではありますが、

利用者さんや職員の話を伺うと、今でもなお、布寄の地域では

こうした「地域での助け合い・支え合い」の文化が残っているようです。


例えば、布寄の事業所には、柚子の実がたくさんなったお家の方から

「よかったら採っていって!」とお声をかけていただいたり、

この夏も近所のお住まいの農家の方から

「トマトがたくさん採れすぎたから、よかったらぜひ」と作物を届けに来てくださったりと

地域の方からお裾分けの声が、たくさんかかっています。


また、地域のみなさんから「この作業手伝ってほしい」と声がかかることも多く、

収穫や加工のお手伝いなどを、利用者さんたちが行っていたりもします。


こういう助け合い・支え合いの文化は、何も農業のことだけではありません。

例えば、利用者さんが迷子になってしまったときは、

地域の方たちが総出で探索を行ってくださったり、

逆に、なかなか外出ができない方のお宅や地域にある高齢者福祉施設に

利用者さんがご訪問して、コミュニケーションを取ったりしています。


こうしたご近所同士の助け合い・支え合いは

「一人暮らしをされる高齢者の方のお見守り」や

「障がいのある方の活躍の場づくり」につながっています。



地域の人たちが「当事者参加」することで

過疎の問題や高齢化の問題などを解決するという、ひとつの事例が

この布寄の助け合い・支え合いの文化だと思います。


こういう「ご近所同士の助け合い・支え合い」という文化が

地域の人たちの当事者参加につながる。

中秋の名月から、少し飛躍してしまいましたが、

こうした文化は、大事にしていきたいと、改めて思います。

ICHIGO ICHIE

一期一会 ~社会福祉法人P.P.P. 理事長のブログ~