互礼会でお話したこと② -当事者参加って?-

前回のブログでは、なぜ理念・ミッション・バリューが大切なのか、

というお話をご紹介しました。

今回はその話を受け、私たちの大切な価値観のキーワードである

「当事者参加」について、互礼会でお話させていただいたことをご紹介しますね。


これも、先日互礼会にご参加された方にはお配りしている

「フィロソフィブック」に書かれていますので、要点をお伝えすると…

●当事者になるということは、相手のことを自分のことのように「理解していく」こと。

●でも、私たち自身も相手のことを理解できず、利用者さんに対して

 決めつけて叱ったり、もうこの人には無理だろうと諦めてしまったりすることがある。

●そんな自分自身の心の中の「黒い自分」に気づき、向き合うことこそが、

 私たち福祉に関わる存在にとっての「当事者参加」の第一歩であること。

 (ロゴのモチーフが、まさにそれを表しているんですね)

そんなお話をさせていただきました。


でも、自分自身の心の中の「黒い部分」って、どういうことなんでしょう。

それを、私自身の経験を通じて、互礼会でお話をしています。

今回のブログでは、その「私自身の経験」をご紹介したいと思います。



↑こちらが入社当時、26歳の頃の私です。


【私が黒い自分に気づいた瞬間①】

私が法人に入社したての頃の話です。

その頃、私は職員として、利用者さんが笑うからと、

ちょっと下品な言葉で、相手をからかったりしていました。

私としては、ちょっとしたコミュニケーションだと、何の気なしに使っていた言葉です。

でも、ある時その言葉を聞いたご家族の方から、こんな言葉をいただきます。

「我が子は小学校・中学校のころからずっと、障がいがあることを理由に

 からかわれ続けてきました。それを見ている「親」の気持ち、わかりますか?」

その時にハッとしました。

私は障がいのある我が子を持つご家族の気持ちを全く知らなかったんだ。

それが理由で、相手を知らないうちに傷つけたり、不安にさせたりしているんだと

気づかされた瞬間でした。その時から「ご家族はどんな思いでいらっしゃるのか」

深く知ろうと思うようになりましたね。



【私が黒い自分に気づいた瞬間②】

私自身が障がいのある方への理解がなく、結果、相手を傷つけてしまった経験もあります。

例えば収集癖のある方。その方は他の利用者さんのラジカセを盗っては

自分の名前を書いて、自分のものにしてしまうという特性がありました。

それを理解できない私は、相手を「悪いことをしている人」と決めつけて、

「なんでそんなことするんだ!そんなことをしていたら、お前の手をちょん切るぞ!」

と、しかりつけたことがあります。その時の彼の一言が今でも脳裏によぎるのですが

「西江先生、僕はどうしても、人の物もとってしまいます。どうしていいかわからない。

 僕の手が悪いんです、だから、この手を切ってください!」

その時に思いました。本人の気持ちも考えずに、相手の特性も理解できずに

ただ叱りつけたことで、その人を結果的に追い詰めてしまっていたんだと。

そして、結局私はその方の担当を外れ、別の事業所を利用することになってしまった。

その時から、なぜこの人はそんな行動をするのか、その背景をちゃんと理解しようと

考えるようになりました。



私自身、こうやって、相手を理解せず、勝手に決めつけたりすることで

誰かを悲しませてしまった経験をたくさんしてきました。

だからこそ、相手のことを自分のことのように理解する…この「当事者参加」というのが

大事だと言うことにたどり着いたわけです。


でも、私は35年、福祉の仕事に携わってきましたが、

こうした「黒い自分に気づかされる」出来事は、まだまだたくさんたくさんありました。

それは今でもそうです。

そうした経験は追々ご紹介しますが、この黒い自分というのはずっと「ついて回る」もの。

日々、この「黒い自分」に気づき、向き合っていくことが大切なんですね。


では、どうやって黒い自分に気づいていくのか…

そのための大切なキーワードが「3つのDNA」。

次回はこの3つのDNAについてご紹介したいと思います。