グランでの取り組みについて


P.P.P.プラットフォーム!玉島が運営する洋菓子店「グラン」のみなさんが、

先日試食品として、新しくなったシフォンケーキを持ってきてくださいました。

それがとても美味しくて、ぜひどうしてこんなに美味しくなったのか、

その理由が知りたく、管理者の中村さんに取材をしたところ、

P.P.P.らしい良い取り組みで、ぜひ皆さんにもその取り組みを知っていただきたいと思い、

ブログでご紹介しようと思いました。



おいしくなった理由は「原点回帰」

洋菓子店「グラン」は元々、P.P.P.が1から立ち上げたわけではなく、

街で人気のパティシエさんが、引退をしてお店を閉めるタイミングでお話をして

お店そのものを譲り受けたところからスタートしました。

その時に、そのパティシエさんから、ケーキや焼き菓子のレシピを譲り受け、

作り方を教えてもらったのが、B型事業としてのはじまりです。

以来、10年間、グランではずっと同じレシピでケーキや焼き菓子を作ってきました。


ですが、中村さんが他のある福祉事業所の利用者さんが焼いたシフォンケーキを食べて

「グランのシフォンケーキよりもふわふわで美味しい」と感じ、

ご近所に住んでいることもあり、元オーナーであるパティシエさんに、

なぜその事業所のシフォンケーキは、うちのよりふわふわなのか、

何か配合に秘密があるのだろうか、と世間話的に相談したのだそうです。

「いや、レシピ通りに作っていれば、同じようにふわふわになるはずなんだけどな」と

そのパティシエさんから、作っているところを一度見てみたいという話になったそうです。


そして、パティシエさんに作っている工程を見てもらうと

材料も手順も間違っていないのだが、

例えば「材料をまぜる」という工程に関して、

混ぜすぎてしまったり、混ぜ方が少し違ったことで

空気が入らずに、結果焼いた時にふわふわになっていなかったなど

10年間の間に、職員同士で見よう見真似でやってきたことで

少しずつ「どんな状態になっていればいいのか」がわからなくなってしまっていたのが

そもそもの理由だったのだそうです。


それ以来、パティシエさんを定期的に招いて

作り方を教わりながら、それを利用者さんにお伝えして

商品の品質向上につなげていった結果が、

あの美味しいシフォンケーキにつながったそうです。

↑ パティシエさんから教えてもらったことを利用者さんに伝授中。
 「ツノがたつってどのくらい」を、一緒に見ながら感覚を掴んでもらっています。


抱え込まずに、地域の方を巻き込むことで利用者さんはもっと活躍できる

この取り組みを聞いて、自分たちで抱え込まず、パティシエさんの力を借りることで、

結果、利用者さんの作る商品の価値が高まるという、いい事例だなと感じました。

グランができて10年、もしかしたら、職員の皆さんはずっと

「レシピを教えてもらったのだから、自分たちでちゃんと守らなければ」と

思ってしまっていたのかもしれません。


でも、やはりパティシエさんはお菓子作りのプロ。

その知恵やノウハウは、我々福祉の人間よりも何倍もすごいものです。

私たち福祉に関わる人間は、その知恵やノウハウを、

利用者さんにわかりやすく、利用者さんにもできる形で伝えていくこと。

それが福祉の「プロ」としての仕事だと思います。


今回のグランの取り組みのように、

地域の方が関わることで、利用者さんの活躍の場を広げ、手がけるものの価値を高める動きが

法人全体に広がっていくと、就労事業はもっともっといいものになると思います。


最後に、今回はシフォンケーキのみだったのですが、

今後はシュークリームやチーズケーキなど、色々なお菓子づくりに関しても

パティシエさんに教わりながら、改良を続けていかれるとのこと。

これを読まれている皆さんも、さらに美味しくなったグランのお菓子を、

ぜひ手に取って、食べてみてください。

そして、美味しいなと思ったら、ぜひ他の方にもおすすめをしてください!

ICHIGO ICHIE

一期一会 ~社会福祉法人P.P.P. 理事長のブログ~