「子を授かる」ということ

前回のブログでは地蔵盆についてを取り上げ

子育て地蔵尊の法要を行うこと、そして、

子育て地蔵尊はご利用者さんが日々、安全に暮らせるようにと

ご家族のみなさんが建立したものであることをお話しさせていただきました。


しかしながら、我が子を思う気持ちというのは、

何もご家族の方が利用者さまに対して思うものだけではありません。

P.P.P.でご支援させていただいている方の中には、

お子さんを持ち、自らの手でお育てになっている方もいらっしゃいます。


そこで今回のブログでは、

P.P.P.で実際にご支援させていただいた方について、少しご紹介したいと思います。


今からもうかれこれ15年近く前の話ですが、

ある二人の利用者さまが「結婚して、家庭をつくりたい」という相談を受けました。

詳しくお話を聞くと、既に女性の方は妊娠されており、

それを知った女性の方のお母様は出産や結婚に猛反対していらっしゃるとのことでした。

また、周囲の方達からも「難しいのではないか」という話も出ていたようですが、

それでも、私たちは幸せな家庭をつくりたいのだと、

お二人ともに強い意志をもっていらっしゃいました。


コンシェルジュ(当時は地域支援センターと呼ばれていました)の相談員は、

お二人の意志を尊重するためにも、まずは関わる人みんなで話をしました。

そして、周囲の人の意見を聞いて、理解しておられてもなお、

それでも結婚して子どもを産み、育てたいというお二人に意思は固く、

最後には「結婚・出産をする」という選択をされたそうです。


ちなみに、この男性の方は、私がまだまだ若かった頃

支援に携わらせていただいていたこともあり、

子どもが生まれたという朗報が入ったときには、とても感慨深いものがありました。


ご出産後も、周囲の方の協力はもちろん、

行政サービスやさまざまな支援を受けながら、我が子を育てていらっしゃいました。

あれほどに反対されていたお母様ですが、

実際に子どもが生まれてからというもの、

ご自身の娘さんの決心に協力したいという思いとご自身のお孫さんへの想いが重なり

子育てのサポートはもちろん、男性の方へも気遣い・配慮の声をかけてくださるなど、

お二人にとって最も良きサポーターになられていたとお聞きします。


利用者さんの親御さんの願いを、そして利用者さんの親としての願いを、

親から子へ、子から孫へと引き継いでいくその瞬間に立ち会えるのは、

利用者さんの人生に長く関わり続ける私たちだからこそできることです。


私事で恐縮ですが、最近、4人目となる孫が生まれました。

そのことがきっかけで、親から子へ、子から孫へと命をつないでいく瞬間に

立ち会えることの素晴らしさをより実感することができています。


とはいえ、まだまだ障がいのある方だけでなく、

世の中全体が子育てがしやすい環境かというと、待機児童や貧困の問題など

解決しなければならない問題もたくさんあると思っています。

だからこそ、全ての人を当事者参加に巻き込み、お互い助け合いながら、

社会の問題を解決していく世の中づくりを目指し続けたいと考えています。

ICHIGO ICHIE

一期一会 ~社会福祉法人P.P.P. 理事長のブログ~