成人・還暦・喜寿式を迎えて

1月7日に、法人で成人・還暦・喜寿式が執り行われました。

還暦や喜寿を迎えた方たちは、私が現場で支援していた頃から関わりのある、

いわば同期のような方。みなさん一人一人、個人的に思い入れの深い方たちばかりです。


その中でも、今回で喜寿を迎えられた方は、私が電気班といって

ビデオデッキなどの電気部品の組み立てを行う就労事業のときに、

直接ご支援させていただいていました。

その方が今年で77歳を迎えるのかと思うと、感慨深くなります。

今回のブログでは、この方のことについてご紹介しながら、

誰かの人生に「当事者として関わる」ことについて、私が考えることを

少しお話しできたらと思っております。


この方は私と同じく高梁市成羽町のご出身でいらっしゃいます。

私がまだ現場で支援員をしていた頃は、利用者様のご家族のところへ向かう

「家庭訪問」を必ずおこなっていた時代でした。

喜寿を迎えられた方のお家にも、何度かお邪魔したのを覚えています。


この方は3人きょうだいの2番目として育ったのですが、

彼女が生まれたのは、まだまだ戦後間もなかった頃です。

若い頃はそこまで考えなかったのですが、

戦後すぐのこの時代で、子供3人を育て抜いた親御さんたちのご心境やご苦労は

いかほどのものだったのかと、今になって馳せることが増えました。

今はお父様・お母様共に亡くなられ、妹さんが身元引き受け人となられているそうです。


喜寿式をきっかけに、色々とその方のことを想い返していたのですが、

その方とは、40年以上ご支援をさせていただいてることもあり、

彼女のいろいろなことを知る機会がたくさんあったなということを実感しています。

その中でも、家庭環境や暮らしぶりなどを知ることができる機会があったことが

彼女のことを知る上でとても大切だったなと、今振り返ってそう感じるのです。


現在はご家族の方の心理的な負荷などの軽減から、

家庭訪問そのものを行っていない事業所がほとんどだと思います。

もしかしたら、ご家族の方から、

関わってほしくないという言葉をいただくこともあるかもしれません。

それに職員の負荷もありますから、家庭訪問に行く・行かないの良し悪しは

簡単には決められないでしょう。


しかし、利用者様の支援を行う中で、

利用者様の生きてきた背景、どんな環境で育ち、どんな人に囲まれて

ここまで成長されてこられたのか、それを知れば知るほど、

その方がどんな人生を歩まれたいのか、少しずつ「想像」することができるようになります。


さらに、ご家族のみなさんとの信頼関係づくりができれば、

周囲の方の協力をもとにできる支援が徐々に増えていくのも事実です。


忙しい中だと思いますが、みなさんぜひ、ご家族の方々との繋がりを大事にし、

利用者様のお暮らしになった環境・背景を知る機会を、少しでも増やしていけば、

その方らしい人生を生きるために、何をご支援するべきなのかが、

少しずつですがわかるようになるのです。

それが関わる人の「当事者」になっていくことであると私は考えるのです。


相手の暮らしぶりやライフスタイルまで、全てを理解し尽くし、

その人だったらと、自分がその方にシンクロしていく…それは

おそらくどんなに頑張っても「100%」完璧になどはできないことでしょう。

ですが、人の暮らしぶりまで想像し、生き様・生き方に思いを馳せ、

共感しながら、一人一人の歴史にシンクロできるまで、理解しようとし続ける。

理解することを「あきらめない」気持ちが、大事なのだと思います。


その第一歩として、ぜひあなたが支援している利用者様の

「ご家族のこと」を知る機会をつくってみてはどうでしょうか?

ICHIGO ICHIE

一期一会 ~社会福祉法人P.P.P. 理事長のブログ~