中長期計画のこと 〜この2年間でのできごと②〜

前回のブログはこの2年間での出来事に関して「進んだこと」というテーマでお話をさせていただきました。

しかし、進んだことはこれだけではありません。この2年間で私たちは今後の10年間、どう法人の運営を進めていくか「中長期計画」についても、ご家族の方や利用者さまも交えて、議論を進めてきました。

そこで、今回は「中長期計画」をテーマに、これまでのP.P.P.の中長期計画、そしてこれからのP.P.P.の中長期計画を、この2年間で起こったことを絡めながら、お話させていただけたらと思います。


①この2年間での出来事と「これまでの中長期計画」

P.P.P.では2013年に、この後の10年を見据えて中長期計画を策定しました。


この時、私たちが重点を置いていたテーマが

親なき後も最後まで関わり続ける

というものでした。

10年以上前とはいえ、法人設立から30年以上が経って、ご利用当初は20代だった方が、50代に差し掛かるなど、ご利用者さまの高齢化が進んできていた時期。65歳を迎える前であっても、年齢を重ねたことによる、身体機能の低下から、専門的な介護が必要になる方も少しずつ増えてきたことでもあり、他の事業所や専門機関へ移行せざるを得ないと、ご家族・職員で判断した方もいらっしゃいました。

さらに、ご家族の方も年齢を重ね、70代・80代の方も増えてきていました。ご家族の中には、親なき後、我が子がどうなるのだろうという不安をお持ちになる方も多くいらっしゃいました。

年齢を重ねてしまうと、それまで慣れ親しんできた事業所から離れなければならない。この状況に、ご家族の方も、法人としても、なんとかしたいと思い策定したのが、2013年の中長期計画でした。

このときの中長期計画の結果、重度の障がいがある方でも対応ができるよう、フリーダム!の改修工事を実施、さらにブラヴィッシモ!通生の開所など、高齢福祉事業の新設などを実現してきました。

この中長期計画に取り組んで10年以上が経ちました。そしてこの2年間、少し寂しい話にはなりますが、この10年の取り組みが、とても大事だったと痛感する出来事として、たくさんの「お別れ」がありました。


一つは、これまで一緒に法人を支えてくださってきたご家族とのお別れです。中には、設立当初から、法人をより良くしたいと理事・役員としてご活躍くださった方もいらっしゃいます。

法人が生まれて、来年で45周年を迎えます。当時のご家族が一人、またひとりとご逝去されていく中、今後の10年も「親なき後も関わり続ける」というテーマについて、法人として向き合っていく必要があると、痛感しています。


そして、もう一つが、ご利用者さまとのお別れです。

今年の11月でブラヴィッシモ!通生が開設され、7周年を迎えました。この7年の間で、これまでP.P.P.の障がい福祉サービスを利用されていた方が、ブラヴィッシモ!に移行されるケースが増えてきました。

そしてこの2年で、何名かの方が、ブラヴィッシモ!で最後の時をお迎えになりました。中には私が入職した当初から、親しくさせていただいたご利用者さまもいらっしゃいます。このお別れは、本当に寂しいと思う一方で、それでも、最後まで関わらせていただくことができたことに、何か込み上げるものを感じています。

私たちは、この時のために、この10年間法人は駆け抜けたのだと実感します。

現在、法人のご利用者さまも高齢化が進んでいます。最後まで関わり続ける、というテーマで考えたときに、ブラヴィッシモ!通生を中心とした高齢事業を、今後さらに充実させていく必要があると、私は考えています。


②この2年間で進んだ「これからの中長期計画」

コロナウイルスの蔓延がおさまったこの2年間、ご家族の方とのつながりが増えたということは前回のブログでもお話したと思います。

このつながりの機会の増加により、新たな10年間の法人の中長期計画も、大きく進展していきました。

ここからは、中長期計画に関して、ご家族やご利用者さまも巻き込みながら一緒につくっていった「大方針」について、ご紹介させていただきます。


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中長期計画:大テーマ

全てをつなげ新たな未来をつくる
~勇気の力で変化を楽しむ~

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この10年間を振り返ると、本当にたくさんの予測不能なことが起こりました。代表的なことでいくと「コロナウイルス」もそうですし、「世界情勢」もウクライナ侵攻を機に大きく変化しました。


さらに今後の10年、少子高齢化はますます進み、労働人口はさらに減っていきます。コロナウイルスの蔓延で顕在化したことの一つとして「世の中で不可欠な仕事(エッセンシャルワーカー)」の人材不足がありました。

私たちが身を置く、福祉の業界でも人材不足は深刻ですが、今後ますます、人材確保が難しくなることも予想されます。

ご利用者さまを取り巻く環境が、目まぐるしく変化する中、私たちもこれまで同様のご支援をしていくだけでは、この変化に対応することはできません。

もちろん、先が見えない状況は「不安」にさせます。さらに、新しい変化に自ら飛び込んでいくことは、とても「勇気」がいります。私だってそうです。

しかし、不安だからと行動に臆病になっていても、状況は打開できません。それを「楽しみながら、柔軟に乗り越えていく」ことが、この先の10年で求められていることであると、私たちは考えています。

ちなみに、この中長期計画の大方針は、理事長である私が主導したのではなく、次世代を担う「中長期計画プロジェクト」のメンバーたちが、ご家族・利用者・職員アンケートの実施や家族会役員・評議員のみなさんとの議論など、関わる人たちの声に耳を傾け、知恵を出し合い、提案してくれたものです。



この時代の変化を楽しみながら乗り越えていくために必要なこと、それが、いろいろな人との「つながり」である。それは、決してご利用者さま、ご家族の方々、職員のつながりだけではなく、私たちP.P.P.という法人や各事業所を通じて、ご利用者さまやご家族と地域の方々がつながるような、そんな取り組みを次の10年で行っていくことが重要であるということ。

ご利用者さまも、ご家族も、地域のみなさんも、そして私たち職員も、全員がお互い支え合い、手を取り合いながら、すべての人が、その方らしい価値を発揮して、一緒にこの変化を乗り越えていこうという提案を聞いた瞬間に、私自身ワクワクしたのを覚えています。


次回のブログでは、これからの中長期計画の「テーマ」について、さらに詳しくお話ができたらと思います。