PPPの支援について ~相手の視点に立つとは~

岡山県内のコロナウイルスの感染者数が100名を越え、

全国でも既に4万人以上の方が感染するなど、予断を許さない状況が続いています。

そんな中、職員のみなさんは、利用者の方を支援をする立場として、

利用者の方の外出を控えていただいたり、余暇活動の内容を変えたりするなど

利用者のみなさんの安全を守るために、日々努力と工夫をされていると思います。

しかし、コロナだから外出を控えようといっても

すべての方にご理解いただけるものではなく、

どうすれば、いいか悩んでいる方も多いのではと思います。

そこで、今回は、PPPの職員として、利用者の方に対して

どう支援していくべきかについて、私が大切にしている「3つのポイント」をご紹介します。


①どんなに相手のためを想おうとも、相手の視点に100%立つことはできないと知る

相手の視点に立つのが大事…という話は、皆さんも良く耳にすることと思います。

「もう、そんなこと考えているよ!」という方も多いのではないでしょうか。

でも、その視点は、本当に利用者さんの視点であると自信を持って言えるでしょうか?

例えば、安全・安心を守るために外出を制限するのは、

利用者の方のためを思っての行動であることは、間違いありません。

ですが、このお願いは、あくまで「職員の側」としての視点です。

相手のためを思ってルールを守ってもらおうとしているがゆえに、

時に、そのルールを、相手も守って当然のように思ってしまうのです。

人はどんなに相手のことを考えようとも

あくまで「自分の価値感」でしか、世の中の事象をとらえることはできません。

この「相手の視点に完璧に立てないこと」を意識した上で

相手の視点に立とうとすると、

自然と相手についてもっと知らなければと思うようになるのです。


②相手に行動をお願いしたいならば、相手の「したい」ことに転換する

では、一体どうすれば「外出を控えてほしい」というお願いを

押し付けにならず、相手の方に理解していただけるのでしょうか。

この時に、発想の転換をしましょう。要は外出を控えてもらえばいいのですから、

「止める」のではなく、ご本人に「外出しない」選択をしてもらえばいいのです。

例えば、普段、夢中になってしまっていることはどんなことか。

もし、利用者の方にとって、その「夢中になること」があるはずです。

それを理解した上で、寮や家の中でそれができると思ってもらったときに

本人から「寮にいたい」と思ってもらえるようになるわけです。

そのためには、利用者の方がしている行動や、利用者の方の好きなことに

「圧倒的な好奇心」を持って、自分自身が体感することが肝心となります。

これは支援だけでなく、全てのコミュニケーションに共通するのですが

単純に「ダメ」というよりも、私たちがしてほしいことを、

相手の方が自分の意思で選択していただくための工夫こそが大事なのです。


③「好き」「したい」の根底にある感情まで、深く掘り下げる

しかし、ここにも「落とし穴」が存在すると、私は思っています。

例えばゲームが好きな方に対して、

「ならばゲームを渡して、寮にいてもらえばよい」と、ゲームを準備すれば

解決するのかというと、そう簡単にはいきません。

ゲーム機を持ったうえで、外出をしたいという欲求が生まれることもあるのです。

この時にその方が外出したいと思っている背景を考え、

外出することで「何を満たそうとしているのか」までわからないと

根本的な解決にはならないのです。

そのためには、相手の方の好きなことや普段の行動を自分も体験したり、

その時の状況を想像したりしながら、

何がいいのか、何が楽しいのかを理解する必要があります。

例えば、ゲームが好きという人は、ゲームの何が楽しいのか。

そのゲームを持って外に出ると、何が楽しいのか。

これを理解した上で、その人にとって、その楽しみを「寮の中だからこそできる」と

思ってもらえたら、外出をするより、寮にいることを選びますよね?


相手に共感していることが伝われば、利用者の方も信頼してくださる

この3つのポイントができるようになると、自然と

「だったら、こうしたほうがいいかもしれない」とアイデアが生まれてきます。

それを毎日、少しずつ実行に移していくと、今度は相手の反応が変わることがあります。

例えば、ご自身の学生時代のことを思い出してください。

学校などで、ただ「●●しろ!」と言っている先生と

部活動や課外活動など、一緒に自分の好きなことに取り組んでいて

自分のいいところや自分の好きなことに共感してくれている先生から

「●●しろ!」と言われるのと、どちらの言葉に共感しますか?

ただ、職員としてダメですというよりも、

ついやっちゃうよね…と共感してくれる人の声のほうが、話をきくと思いませんか?

つまり、相手の視点に立ち、相手に共感しながら

信頼関係が築いていくことこそが、支援の質を高める大事なポイントだと私は考えます。


最後に

支援をする相手に対して、どうしてもしていただきたいことがある。

その時に、どうコミュニケーションをとればいいのか。

そのためにはまず

①自分の価値観でしか、物事をとらえることしかできないことを理解しつつ

②その上で、相手のことをもっと知りたいと

③好奇心を持って、その方の好きなこと・日々の行動を自分も共感・体験する

ことで、解決策が見え、更に利用者の方の信頼を得ることにつながります。

そして、その人から「外出を控えてください」とお伝えされたときに、

利用者の方も、その言葉に「共感」してくださるのです。

だからこそ、ぜひ支援をする相手はもちろん、

関わっている全ての人に、圧倒的な好奇心を持って接してみてください。

ICHIGO ICHIE

一期一会 ~社会福祉法人P.P.P. 理事長のブログ~